
奥宮について



本神社の奥宮は、木曽川左岸の
愛知県一宮市奥町河川敷内の松林で、
通称「大巻山(おおまきやま)」と呼ばれている
猿尾(さろう)の中ほどに鎮座しています。
この奥宮は旧奥町渡船場の南側にあり、
この大巻山の川下先端部分で
神宮御遷宮のとき、
御用材の筏が伊勢湾に入るために縄を締め直す御神領地です。
この地に昔より「猿田彦大神」「天宇受売大神」の二柱が祀られており、
現在は本神社の「奥宮」となっています。
奥宮の鎮座する大巻山は、
旧渡船場の南に位置する神領地で、
神宮御遷宮の際、筏の御用材が伊勢湾に入る前に
綱を締め直す場所でした。
伊勢湾に出た後もご用材が無事届くようにと、
導きの大神である猿田彦大神が祀られ、
宿は氏神の若宮神明社があたりました。
この神縁により、今では「鳥居・標」が設けられ
伊勢神宮の遥拝所として多くの人に参拝されています。




式年遷宮を始め、物流、渡船と河川は生活において欠く事のできぬものでした。
木曽の恵みに感謝をし、導きの神である猿田彦大神は、地域の守り神として祀られました。
しかし現在は堤防の拡幅により、一般住宅は取り除かれましたが、お社のみは木曽の恵み、治水のために残されました。
奥宮渡船の文章より1716年には守り神として祀られていたことが確認されていますが、
それ以前は書面では確認できず1608年に木曽川が現在の形になり、その際に祀られた御社であると言われております。
昭和30年時代
かつての奥宮
下は現在のようなコンクリートや生成された石ではなく、大きな岩の上にお社が祀られておりました。



昭和60年時代
近年の奥宮
昭和に尾張猿田彦神社を里宮として建立する際に奥宮を一緒に整備いたしました。
奥宮の猿田彦大神の由緒がわからず、その際に伊勢の猿田彦神社より正式に御霊分けを行いご鎮座いたしました。
また、奥宮の敷地内に氏神である若宮神明社が伊勢の第三鳥居であった神宮遥拝鳥居を建立いたしました。



現在の奥宮
奥宮の神域に堤防上からでも神社がわかるように大鳥居を建立いたしました。
奥宮への車での参拝を可能にするため、一宮市の公園緑地課と協議のうえ、
一部土地を市に貸し、緑地公園をはじめ、
公園利用者、奥宮参拝者用の駐車場として整備してあります。



奥宮周辺の今昔
木曽川と大巻山
『大巻山』は、木曽川の左岸の奥町地内にあり、
現在の木曽川が「尾起(おこし)川」と呼ばれ
80メートルほどの川幅であったものが、
天正14年旧暦6月24日(1586年8月9日)の大洪水の際、
一晩で現在の川幅(奥町で700メートル以上)が
10倍以上の大河となりました。
切れ所は108ヵ所ありました。
それ以前は尾張に7筋の川があったと文献が残っております。
現在も濃尾大橋の北左岸の川中に尾起川の堤防跡が見えます。
尾起川以西を天正12年美濃に国替えし大洪水で濃尾の境としました。
奥宮の昨今
今は昔、交通機関も無く、往来を船に頼っていた頃、
この地域は木曽川の流水によって発展してきました。
この地の織物や物品を、
浪速・名古屋方面へ運び出す人々また出入りする船や
笠松港(羽島郡笠松町)まで上り下りする船、
奥町と羽島市をつなぐ「奥町渡船」、
また周囲の人々も生活の一部として利用していたようです。
映画撮影地としての奥宮
赤木圭一郎主役
拳銃無頼帳「明日なき男」撮影地
一宮市奥町堤下の大巻山猿尾(さろう)と
二ツ屋・猿尾が見渡せる場所が撮影現場となっています。
撮影現場になった昭和35年当時の風景は、
木曽川護岸工事が綺麗に終わった後で、
周囲には松林があり、
採土船(サンド船)で
川底の砂を汲み上げて、
砂を積んだトロッコを運搬船に乗せて川岸に運び、
敷かれたレールの上をトロッコがダンプカーの上に乗り上げて、
直接積み込む場所でした。
奥宮渡船
「奥町渡船」は、愛知県一宮市奥町(旧奥村)
若宮神明社の西側左岸と岐阜羽島市正木村の
右岸をつなぐ渡船で、この両岸の地は古くから
絹織物が盛んで尾州織物・美濃縞の一大生産地で、交通の手段として渡船の必要性が高かったと思われ、「奥村の渡し」は享保(1716)年にはあったようです。







1. 川原の秋月
初夏から晩秋にかけて、
白砂の上を月夜に散歩する趣
2. 堤防の青嵐
渡船場から川下に当る林中、
涼風来る所木の間がくれに白帆の上下する旅
3. 渡船場の扇帆
夕陽、まさに河畔に迫る時、
白帆の夕凪にゆるく下る旅
4. 了泉寺の晩鐘
渡船せんとして艫(ろ)の音やんだ所に、
了泉寺の晩鐘静かに響く様
5. 伊吹の暮雪
白雪累々たる伊吹を渡船中に見る、
渡船場上草原の堤防上から見た伊吹山
6. 西猿尾の落雁
渡船場西の猿尾に立って川下を見る時、
多度方面をさして美濃路を落ち行く雁
7. 堤防の夜雨
了泉寺裏堤防に秋雨のしとしとと降りかかる
雨珠に堤防の大松のあたり
8. 奥町の祭橋
東より(若宮神明社)神社に正面してみた景